東京新聞
新世界事情

音楽一家、ダンスも英才教育 アイドル扱いやめて

ロシア


「日本でコンサートするのが夢」と話すユーリャ・サビチェワ=モスクワ市内で

 「tATu(タトゥー)に続け」と世界進出を夢見る若手歌手がひしめくロシアのポップス界にあって、抜群の歌唱力で注目を集める売れっ子歌手がユーリャ・サビチェワ(18)。

 モスクワ市内の所属事務所でユーリャに会った。アフリカの無人島でのサバイバル番組撮影から帰国直後だったが、疲れの色はみじんもない。「じっとしていられない性格なので移動の多いこの仕事は、自分にぴったり」と笑う。

 父親がプロドラマー、母親は音楽教師の音楽一家に育った。四歳からダンスの英才教育を受け、基礎的な音楽教育は母親から。「子供のころからホイットニー・ヒューストンの物まねなどが得意だった」。一昨年、家族が応募したオーディション番組に出場、見事十五週間勝ち抜き、歌手デビューを果たした。

 身長一六〇センチとロシア人の中では小柄だが、全身を激しく動かして歌う姿からはカリスマ的な雰囲気すら漂う。人気テレビドラマの主題歌となったバラード調の新曲はラジオ局のヒットチャート上位に食い込み、ニューアルバムも売れ行き好調。「メロディーが欧米ポップとロシア的ポップの中間的な感じ。幅広い層に受け入れられた」と分析し、今後は「よりハードなロック色を徐々に打ち出していきたい」とも。

 成功の理由を尋ねると「まじめに努力したから」ときっぱり。愛らしい容姿だが「音楽以外で(ファンから)崇拝されるなんて理解できないわ」とアイドル扱いには反発する。ロシア各地と旧ソ連諸国でも精力的にコンサートをこなすユーリャ、「ファッションでも最も進んだ国、日本でツアーをするのが夢」と目を輝かせた。

 (モスクワ・常盤伸、写真も)