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店長の独り言 2014年9月号
ウクライナ、その後は

   ウクライナ関連のニュースは
9月の後半辺りから
なんとなく少なくなってきました。

理由の一つとしては
ウクライナ東部での親ロシア派といわれている人たちと
ウクライナ軍の軍事衝突
(実質的な内戦状態)
が停戦合意によって収まってきた
というものですけど
その間に
スコットランドの独立を問う
住民投票があったり
イクラム国という名前の勢力についての問題があったりで
関心は薄れてきているのではないでしょうか。

でも
IMFの支援を受ける決定がなされ
実際にウクライナは経済的な支援は受けているものの
本当にたいへんなのはこれからです。

幸い
ロシアとの間で
現在止まっている天然ガス供給問題は
ウクライナが未払いの代金の一部を支払う
という条件の下で
6ヶ月間供給することが決まり
一応解決の見通しは出来ました。

それでもです
エネルギー部門、公共交通機関の料金値上げは避けられないですし
補助金の縮小により
パンの値上げや年金等の減額が予想され
一般国民の生活は
今冬が一番たいへんになることでしょう。

また
ウクライナ経済にとって
一番の稼ぎ頭である
東部地域の混乱は
ただでさえよくないウクライナ経済にとっては
マイナスでしかありません。

ロシアの友人のお母さんが言ってましたが
「政治的な事件や変化あるとき
一番しわ寄せがあり、、困るのは
最も弱い人たちなんだよ」
ということです。

今年の冬に
またキエフの独立広場で
抗議活動が起こらなければいいが
と願うばかりです。


2014,9,29
  
 
ウクライナポップスの行方は1
(長くなってしまったので1・2に分けました)

  9月に入って
ロシアのプーチン大統領が
ウクライナ東部に国家機構を
と言い出しました。

これは
ウクライナがNATO加盟を表明したことを
受けてのものですが
今回のウクライナ危機は
ついに分岐点まで来てしまった感じがします。

この先
一体どうやって状況が落ち着くのか
その着地点が見えないまま
ウクライナとロシアは
引き返せないところまで来てしまったような気がします。

2月のキエフでのクーデター。
3月のクリミア編入。
7月のマレーシア機撃墜事件
みんな遠い昔の出来事のような気がするのはなぜでしょうか。

ウクライナ危機の出発点は
昨年末
破綻寸前にあったウクライナの経済危機でした。

ヤヌコヴィッチ前大統領は
1,400億ドルの債務を抱え
デフォルトの危機の中
まずEUと交渉。

でも、連合協定を結んでも
EUは真剣に援助をするつもりがなかったので
ロシアと協議をして
150億ドルの緊急融資や天然ガス価格の3割引き下げ
(年間20億ドル相当)を引き出しました。

ウクライナは
ロシア一辺倒でも
西側一辺倒でもやっていける国力は
今のところないのです。

それで
西を見ながら
東からの援助を上手く獲得したわけです。

それに反対して起きたのが
キエフでのデモです。

冷静に経済的に見れば
ロシア側につきながら
西側から支援を引き出した方がいいようにも思えます。


ロシアは
第一に兄弟国ですし
その上
エネルギー資源大国でもあるので
経済上の
そしてエネルギー上の援助が期待できます。
(ロシアに対して天然ガス代金18億ドル以上の借金があります)

ロシアはウクライナにとって
最大の支援国であり
有力な貿易相手国であり
エネルギー供給国なわけです。

一方EUは
自力で経済支援できる状況ではないし
するつもりもない。
結局
IMFの支援を仰ぐことになります。

IMFから支援を受ければ
経済政策にも口出しをされ
緊縮政策、補助金のカットが要求されることでしょう。
(6月からガスなどの公共料金が既に大幅に値上げになっています。
年金生活者など一番弱い人たちにしわ寄せがいくでしょう)

また
現在100%ロシアから輸入しているエネルギー資源は
同盟国でなくなれば正規料金になります。
(6月からロシアからの天然ガスの供給が止まっています。
今年の冬は一体どうなるのでしょうか)

それでも
EUの方がいい
(EUが加盟を認めてくれるかどうかは別問題です。
トルコだって加盟を認めらていない状況です)
というのが今のウクライナの人たちの気持ちのようです。
それで新大統領に選ばれたのがポロシェンコ氏ですから。

ところで余談ですが
最近まで知りませんでしたけど
キエフの独立広場は
「ユーロマイダン」
と言うらしいです。

つまり
「ユーロ広場」
という意味です。
独立広場でバリケードを張っていた人たちが
やたらとEUの旗を掲げていたことの理由が
ようやくわかりました。
 
 
ウクライナポップスの行方は2

   ウクライナ経済の建て直しという観点から見れば
IMFの支援
(4月に170億の支援が決定しました。
これまでに
08年9月に164億ドル
10年7月に151億ドルの緊急融資をしています)
であっても
ロシアからの支援であっても
経済状況が改善される保証は何もありません。

その上

人口が多く
遅れているとは言え
工業地帯をかかえるウクライナ東部を失うことになれば
ますます経済状況は逼迫するでしょう

そこでこの先
ウクライナポップスは一体どうなってしまうのでしょうか。

今一番気がかりになっていることは
5月の訪問時にMTV(音楽専門番組)で見た
画面左上のウクライナ国旗

アーチストが紹介される度に
出身国の国旗が示されていたことです。

ナショナリズムが音楽の世界にまで及び
アーチストの出身国を明示して差別化することは
どのような影響をもたらすのでしょうか。

例えば
ウクライナ人歌手でも
これまでロシア語で歌っているアーチストに
心理的な圧力がかかったりするのでしょうか。
(韓国のアーチストが日本で活躍をしていると
「D島の帰属はどちらか?」という意地悪な質問をしたマスコミがいましたが・・・)

ソフィア・ロタル
(出身はモルドヴァで音楽教育はウクライナで受けた)
タチアーナ・オフシエンコ
ナターシャ・カラリョーワ
ヴァイア・グラ
アニー・ロラック
これらは皆
ウクライナ出身でロシア語で歌い
成功したアーチストです。

ウクライナのアーチストが
英語で歌っても
成功した人はいません。
(モルドヴァのオゾンが唯一の成功例ですけど)

ロシア語で歌うことで
旧ソ連のロシア語圏でヒットするわけです。
繰り返しになりますけど
ウクライナは
ロシアとの繋がりなしでもやっていける国ではありません。
(ロシア製品の不買運動をしてましたが
エネルギーもロシア製を買わないというつもりでしょうか)

もし
ウクライナ語だけで歌うことになれば
結局は市場を失い
ルーマニア・ポップスのようになってしまうでしょう。
(ルーマニア・ポップスは今瀕死の状態です)

モスクワ-キエフ間を結ぶ列車は
毎日何便もあります。
ところが
4・5月に乗ったときにはがらがら状態でした。
乗っているのは女性と子供、老人、外国人だけ。
それは
ウクライナが
ロシア人の成年男子の入国を拒否しているためです。

ウクライナとロシアの関係が今以上に悪くなると
それはウクライナにとっても
ロシアにとってもいいことは一つもありません。

8月26日のことになりますけど
ウクライナとロシアの大統領が会談をするというので
期待していました。
結果
上手くはいきませんでしたが
なんとか話し合いで解決をしてほしいです。
(メルケルやアシュトン、サキ、ケリーと話し合うのではなく
プーチンと話し合わなければ・・・)


2014,9,3
  

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