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店長の独り言 2016年6月号 | ||||||||||||||||||||||
今年ウクライナを訪問して 一番驚いたことは いつも利用しているホテルが閉鎖されていた ことでした。 例年、キーエフのホテルは ネットで予約をしてから出発するのですが 今年はネットで予約を試みたものの 返事がありませんでした。 ヘンだな とは思いました。 しかし 現地に行ってみればなんとかなるだろう という軽い気持ちで ホテルまで行ってみて 愕然としたのです。 「ホテルは閉鎖」 の張り紙が玄関扉にあって 一瞬途方に暮れました。 衝撃以外のなにものでもありません。 仕方なく その近くにあるホテルに行って 何とか部屋を取ることが出来ましたけど 慣れ親しんだホテルが無くなってしまったことへの寂しさが 数日の残りました。 ユースホステルのような簡易宿泊所ではなく ソ連時代からある 老舗のホテルが閉鎖なんて ウクライナ経済は本当によくないんだ と実感させられたものです。 キーエフではかつて 知っているだけで ミュージックショップが10店舗以上あったものですが 今年はついに 1店舗だけとなっています。 毎年発売をされていた コンピュレーション(オムニバス)CDは 昨年から1枚も出ていません。 一方 メトロ(地下鉄)の料金も値上げにはなっているものの モスクワなどに比べれば まだ安く抑えてあります。 街中で食事をしても 日本の物価から見ればまだまだ安いです。 それでも、モスクワへの夜行列車で同室だった年金生活をしている というウクライナの人の話では ある日突然 ガス料金が倍になった と嘆いていました。 「日本でそんなことはありますか?」 と憤り 年金は月に日本円で7千円弱で 公共料金の支払いで3分の2はすぐに無くなる と言ってました。 政権は2015年から 大統領も議会も 完全に西側寄りの勢力が取って代わったにもかかわらず 経済状況は相変わらずよくはならず 政治も相変わらず混迷を続けているようです。 汚職にまみれてきた歴代大統領たちと違って お金持ちのポロシェンコ氏ならクリーンで ウクライナを救出してくれる と思われていたのに 今年4月 例の「パナマ文書」から ポロシェンコ大統領の 租税逃れ疑惑が発覚しました。 14年のクーデター以降西側寄りの政権を担ってきヤツェニューク首相は 4月にポロシェンコ大統領と対立をして辞任しています。 ところで 町中が2015年から 国旗色の上が青で、下が黄色のデザインになったことは 2015年6月号でお伝えしましたけど 今年もそれは全く変わってなかったです。 TVは ニュースでも天気予報でも また映画番組や音楽番組であっても どの番組でも 右上か左上に国旗が翻っているし (但しミュージック番組でビデオクリップを流すときに アーチスト名に出身国の国旗を入れるのは 今年は無くなっていました) 町中でも 橋の欄干、街灯、ベンチ、 工事現場の覆いなどなど 国旗色で染まっているのも 同じでした。 TVニュースでは ウクライナ東部での ロシア側の停戦違反を連日報道しています。 (一方ロシアでも 連日ウクライナ側の停戦違反を流しています) ナショナリズムの風が吹き荒れる中 ロシアに対する憎悪だけが増幅されていっている感じがします。 それは なんとも言えない嫌な感じです 最後に キーエフ行きの列車で同室だったウクライナの人が 面白いことを言っていたのでご紹介したいと思います。 「ウクライナ東部での紛争は プーチンが始めたものだ。 だから プーチンがいなくなったら 終わるよ」 冗談ぽくは言っていたものの 顔は笑ってはいなかったです。 冗談とも本気とも思えるような口調でした。 もちろん 遠い外側から見ていれば 事の本質はそこにはないことは明らかでしょうけど でも 当事者であり その内部で生きている人たちは そんな風に現実を笑い飛ばしているのかもしれません。 それとも 毎日のプロパンガンダ報道の中で まさか本気でそんな風に思っているのでしょうか。 この先一体どうなってしまうのだろう。 心配を通り越し、憂い以外にはない。 そんな印象を持ちました。 2016,6,27 |